美容師の「資格なし」は違反なの?

美容師には国家資格である「美容師免許」を保持していることが、法律によって定められていますが、はるか昔より美容業界には「無免許美容師」という言葉がありました。

それこそ大昔はかなりの割合で無免許美容師が存在していたのですが、ある時期に無免許美容師の存在が社会的に問題視されたことがきっかけで、その後は急激に減って今に至るのですが、無免許美容師という言葉が連日ワイドショーで流れた時代をみなさまはご存知でしょうか。

<カリスマブーム>

今でこそ「カリスマ美容師」と呼ばれる美容師は減りましたが、ほんの20年ほど前には社会現象化するほどの、美容師がチヤホヤされて人気な時代がありました。

そして、そんな人気絶頂の最中に「ある事件」は起きました!

美容師無免許騒動!

読んで字のごとくですが、カリスマ美容師として某有名店の共同代表が無免許営業していたのを皮切りに、これまた伝説的某テレビ番組に出演していた美容師のなかからも無免許美容師が一人また一人と出てくる始末でした。

なにが言いたいかというと、超有名店を経営して、テレビではタレントよりも派手な演出するような美容師が、美容師として名乗る大前提に美容師免許を名乗る資格すら持っていなかったことが驚きでした。

また無免許でも当たり前のようにお客様を担当し、サロンの代表になるまで資格所持に関してノーチェックだったことは業界としてはもちろんのこと、行政に対しても問題のあるところでした。

ちなみに現在は、雇用する美容師が増えるときは、原則として保健所に届出が必要ですし美容所開設の際にも美容師免許の提示が必要書類として必ずチェックされますので、無免許でサロン開設することは基本的にはできにくくなっています。

ただしサロンオーナーとなるには美容師免許を必要としないので、美容所内に美容師免許および管理美容師免許保持者がいれば、美容所を開設することは可能ですので、美容師じゃないけど自分のサロンを持ってみたいという経営者の方には、そのようなやり方も考えてみてはいかがでしょうか。

無免許美容師は逮捕される可能性

美容師免許が無いこと、つまり無免許美容師が発覚してしまうと、今まで築き上げたものを失ってしまうことは上記の説明でご理解いただけたと思いますが、無免許美容師としてサロンワークをしていたことで、最悪の場合は逮捕されてしまうこともある!ってことは知っておいた方がいいかもしれません。

ではどんなケースで逮捕に至ってしまうのでしょうか?

シンプルにいうと、無免許美容師として美容行為をした挙句、お客様へ怪我をさせてしまった場合に、逮捕される可能性があるということです。

可能性と表現したことには理由があって、基本的に警察が動くときは「誰かが」「誰かに」怪我や損害を負わせた場合であって、被害者と加害者の双方が出揃わなければ動きだせないというジレンマを警察はもっています。

なので、無免許で美容師行為をしていたとして、誰にもなにも怪我や損害を負わせていなければ逮捕まで至らず、誰かを無免許であるが故に傷つけてしまった場合に逮捕されるということになります。

どちらにせよ逮捕される・しないに関わらず、美容師としての最低限の知識を持ち得ないということには変わらないので、正しい知識を持ち合わせて従事することが最も大切なことといえるでしょう。

「免許」は美容所を開設するときに、必ずチェックされる

先ほども申し上げましたが、美容所を開設するときには必ず最寄りの保健所に開設届けを提出せねばならず、この開設届けを許可されなければサロンを開くことはできません。

そして申請書類の中に提出書類として「美容師免許」の提出が義務付けられていますし、現地調査においては消毒方法やその他、美容師としての知識がなければならないので、やはり無免許というわけにはいかないように制度設計されているのです。

ただしおまけ話として、独立開業しようとしている美容師さんへリアルな情報をお伝えすると、独立をしたい美容師さんが開業するまでの一般的な流れとして、まずは美容ディーラーに独立の相談されることが多いといわれています。

しかもその流れが一般的であることから、美容ディーラーも慣れたように的確に相談にのってくれます。

そして美容ディーラーに相談後、ディーラーは店舗内装の設計やサロンで使う機器購入のため、タカラベルモントと協力して独立までの道筋を作ることが多く、タカラベルモントもその流れをうまくキャッチしてスケジュールを組んでくれることでしょう。

というのも、美容師が独立開業を考えてから実際にサロンオープンに至るまでの流れは、基本的にどんなケースもほぼ同じなので、資金調達を含めあらかじめ全て万全のバックアップ体制が体系的に整えられているのです。

さらに深掘りして申せば、どこまでそのバックアップ体制があるのか気になるところですが、借り入れのための金融機関審査の直前には必ず審査が通るように、その金融機関の方に事前に完璧にチェックしてもらえますし、融資が落ちるということはほぼない状態をお膳立てしてくれることでしょう。

さながら感覚的には、タカラベルモントと金融機関のズブズブの関係を否定することは困難といえそうです。

唯一、事前に手が回らない相手というのは「保健所」ぐらいで、地域管轄の保健所の担当者によっては独特のクセがかなりあるので、開業届けを出すときには自力で保健所との相談は必要といえるでしょう。

もちろん先ほどご説明したように、サロン開業支援の中には「保健所対策」も含まれているので、現地調査はじめ開設届けに必要な書類などもフォローしてくれるはずなのでご安心ください。

繰り返しますが、開業届に必須の「美容師免許の有無」の確認については、フォローができ兼ねるので、必ずサロン内で働く者が保持していることの調査は事前に必要といえそうです。

無免許美容師は、やはりバレる!

これまでのご説明では、主に事業者(サロン開設者)の立場でお話ししてきましたが、今度は労働者の立場から「無免許美容師」についてみていきましょう。

労働者でも現在は2通りの雇用形態で働くことが一般的といえそうですが、一つはサロンに正社員として雇用される場合、もう一つは個人事業主として業務委託という雇用形態で働く場合です。

少し難しい言葉が並んでしまいましたが、多くの方々は美容学校卒業後にサロンに就職をされますし、雇用形態は正社員として契約することが一般的です。

なぜなら美容学校卒業後直後は、お客様を担当できるだけの能力が未だ身についていないので、給料を保証され技術を教えてもらえる環境に身を置かねばなりません。

それとは前提条件が異なり、業務委託サロンで働く個人事業主の美容師は、保証された給料と教わる環境が乏しいといえるでしょうし、美容学校卒業直後の若い美容師さんには不向きな環境といえそうです。

やはり、美容学校卒業後は教育のしっかりしているサロンで働いて、心身ともに実力を兼ね備えてから、報酬を目的に職場を決めるスタイルが王道と言えるのではないでしょうか。

カリスマ美容師が話題になる以前は、美容師という職業は「徒弟制度」がしっかりとあった業界だったので、「雇用されている期間」は薄給というのが当たり前でしたし、独立開業してからが荒稼ぎするチャンスと、自分に言い聞かせながら我慢していたようなことも聞いたことがあります。

現在のような雇用されている状態で多くの報酬を望むのか、それとも独立するまで我慢をしながら働くのか。どちらが良い悪いというのはポジショントークに過ぎないのかもしれませんね。

では本題に戻り、一体どんなところで「無免許美容師」であることがバレてしまうのかというと、それはサロンと美容師が「労働契約を結んだ時」に必ずバレるようになっています。

というのも先ほど申した通り、原則として美容師を新たにサロンで雇用する際は、保健所に新しい美容師の在籍を届出する必要があるので、その都度一人ずつ美容師免許の提出をせねば、保健所に認められてたかたちで営業することができません。

このように「無免許美容師」として、「しらばっくれて働く」ということは、制度上できないこようになっています。

しかし、リアルな現場の多くのサロンでは、スタッフが出入りするたびに保健所へ届出を出すことはしていなくて、美容師免許の確認さえも行っていない、ずさんな管理体制のまま運営されているサロンが多く存在していることは業界の闇としてあることです。

なぜ、このような条例で決まっていることを多くのサロンで意識的に違反しているのかというと、理由はたった一つだけで「違反者が多すぎる」ということに尽きそうです。

違反サロンが多いということは、そこに保健所としても多くのリソースを割かねばなら

ないので、保健所としては効率的に取り締まるために「サロン開業」の際に厳しくチェックするという方法も、あながち効率を考えたうえでは間違いではないといえるでしょう。

内部告発が一番多いバレ方って・・

無免許美容師がバレる!シチュエーションについてこれまでご説明してきましたが、今度は「最も多いバレる原因No1」についてお話しいたします。

早速ですが、一番多いバレる原因は「内部告発!」ということですが、人というのは恐ろしいもので、誰かを陥れたいという思った時に保健所へ匿名でチクるのだそうです。

たとえば、「うちのサロンで、無免許美容師が働いていますっ!」って通報しても、通報した「同僚」は何ひとつ得することが無いので、腹いせによる内部告発ということになります。

何はともあれ、サロン内での「内部告発」が無免許美容師摘発においては一番多いということで、無免許美容師からしたらヒヤヒヤしながら働く毎日となりそうですね笑

実は美容通信生に多い、「無免許労働」の真実

もしこの記事を読んでいただいている方の中に、美容学校を通信教育で通われている方がいらっしゃったら、ちょっと内心穏やかでは無い話題となってしまいますが、通信生で免許が無いにもかかわらず、サロンワークに従事させられている方も少なくは無いはずです。

といいますのも、美容所において「美容行為」に抵触することは、実はいがいに多く存在していて、またその行為をさせてしまっているサロンが多くあることも、一部では問題となっています。

たとえば、見習い美容師さんの代表的な業務としては、「シャンプー業務」が挙げられますが、こちらの業務は完全にアウト!となっています。

さらに、シャンプーの流れでドライまで行うことはよくあることですが、この「ドライ」も美容師免許がなければしてはいけない行為なのです。

これだけでも「無免許労働」とみなされてしまいますし、そうなってしまっては通信生としてサロンで働きながら、美容師免許を取得することはとても困難なことになってしまうはずです。

なぜなら基本的にこの2つの業務ができないのならば、サロンワークにおいて他にアシスタント業務でできることがほとんどなくなってしまうので、雇用をする側のサロンオーナーにとっては雇用するメリットがなくなってしまうということです。

なので実際の現場のサロンでは、無免許の状態でも「シャンプー」や「ドライ」、「カラー」の薬塗布などまでさせてしまっているところが多いのではないでしょうか。

個人的には有資格者の制限が強すぎるので、もう少し資格保持していない人にもサロン内での仕事をさせてあげられるようにすべき、というのは常々考えているところです。

このグレーゾーンの現在の扱い方については、これまで書いたような「無免許美容師」と同じ扱いをするのは心苦しいなと思っているので、早くに美容師独占業務を条件つきでも緩和してくれることを待たれるばかりです。

美容師 資格なし 違反のまとめ

いかがでしたでしょうか?

美容師が資格を所持していないことで起きてしまう法律上の違反は実は数多くあって、これまでに説明しきれなかった中にも、ちょっと前でしたら「マツエクサロン」の美容師免許取得義務問題がありましたし、今や店舗管理責任者である「管理美容師資格」の受験会場にはマツエク業界の方々が3分の1強を超えるほどの状況となっています。

もちろん「無免許美容師」で美容業務に従事することは決して望ましいことではないのですが、ちょっと皮肉な言い方をいたせば、美容師免許を管理している団体が難癖をつけすぎている格好にも見えてしまっているのは、なんとも不恰好だと言わざるを得ません。

美容師免許が「国家資格」として定められていることは、美容師としてとても誇らしく思うのですが、一転見方を変えるとあまりにもクローズな市場であるともいえるので、無免許が悪い!と視野を狭めるだけではなく、国家資格の所持が必要と認められるようなプロフェッショナルな仕事を美容師が追求していけたら、今後も素晴らしい業界へと進むことができるのではないでしょうか。

この記事では無免許美容師の違反について詳細に書くだけではなく、サロン内で働く人が「美容師だけ」というちょっと異常な環境にあることに我々は気づくべきですし、これからの美容師は「資格に守られるのではなく、資格を生かせるように」国家資格保持者として誇れる仕事をしていくべきではないでしょうか?と結んだかたちで終わらせたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。