美容師が得する『資格とその種類』

美容師をするうえで「美容師免許」が資格として絶対必要なことは、別の記事ですでにご説明していますが、またそれとは別に美容師が持っていると「得する」資格があることはご存知でしょうか?

美容師とは美容師法によると、それぞれの方法を用いて「容姿を美しくするもの」。と定義されていますが、まさしくその方法にあたるものが「得する資格とその種類」といえます。

ちなみに「方法」とは、言い換えると「スキル」や「資格」ともいえるので、こちらの言い方の方がしっくりくる方も多いのではないでしょうか。

では具体的に、どんな方法があるのでしょうか?

箇条書きにしてみます。

・ヘアケアマイスター
・色彩検定
・カラーコーディネーター検定
・パーソナルカラー検定
・ネイリスト検定

番外編

・日本化粧品検定
・心理カウンセラー
・管理美容師

上記が持っていると得する資格の一覧ですが、簡単に一つずつみていきましょう。

1. ヘアケアマイスター

ヘアケアマイスターとは、2011年ごろから始まったまだまだ歴史の浅い資格ですが、昨今の複雑化する薬剤において、知識の補完という側面から多くの人が受講しています。

なぜこのような資格が生まれたかというと、ほんの10年ちょっと前の2007年ごろまでは、パーマの「還元剤」は2種類しかありませんでした。

一部医薬部外品ではなく、化粧品登録で発売されていた還元剤もありましたが、主力としてはチオグリコール酸とシステインの2つが、1960年からおよそ47年間もの間パーマ液の主力薬剤として君臨していました。

ちょっと話は脱線しますが、パーマの起源を文献で確認できるのは、紀元前3000年前のエジプト文明から始まるといわれています。

話を戻して、2007年頃から「還元剤」の種類が多くなっていくのですが、主原料である還元剤が変わると、新たな知識も必要になるので美容師の当然のスキルとして、「毛髪理論」と「化学反応」の知識を身につけることが求められるようになりました。

そんなふうに「ヘアケアマイスター」の検定資格が生まれたという業界の歴史的背景があることは、現在の若手美容師さんにはちょっとわからないかもしれません。

いずれにしても、多様化するニーズと美容の高齢化の側面からも、より様々な化学的アプローチが必要になるので、今後も人気の資格として残っていくことは確実です。

2. 色彩検定・カラーコーディネーター検定・パーソナルカラリスト検定

ちょっと詰め合わせのような格好になってしまいましたが、上記の3つの検定は目的と活用範囲が似ているので一括りにいたしました。

詳細をいうと違いがわかるのですが、ここでは一括りにしてご説明いたします。

括る理由として上記3つの資格は、サロンワークでいうところの「カラーリング」のときに資格の効果を最大限に発揮できるものになります。

まずはそれぞれどんな特徴を持つ資格なのか、これらの資格を運営している主催者の違いから、その資格の性格をみていきましょう。

色彩検定

色彩検定は公益社団法人色彩検定協会が主催している検定資格となっていて、色の基礎知識を学ぶことがメインとなっているので、まずは「色」についての資格が欲しいときはこちらの「色彩検定」を受験されると良いといえるでしょう。

カラーコーディネーター検定

カラーコーディネーター検定は商工会議所が実施する検定試験で、色に関する知識や技能を問う内容となっています。

色彩検定と大きく性格が違うところは、資格自体が「実戦的」に考えられて運営されているので、たとえば店舗デザインや雑誌編集など多彩な職業で活用することもできる検定資格といえそうです。

珍しいところでは、「カラー市場調査」や「分析法」、「工業デザイン」なども学ぶことができるため、幅の広い職業で活用できることが多いでしょう。

パーソナルカラリスト検定

日本カラリスト協会が行っているもので、同協会はパーソナルカラリスト検定をはじめ配色検定、トータルカラリストなど「色」にまつわる検定が多いのですが、正直言ってしまうとこれらの似たような検定を作って、ビジネスライクなところも垣間見えるので、個人的には上記の「色彩検定」と「カラーコーディネーター検定」で十分なのではと思ってしまいます。

一方サロンワークにおいては、お客様にパーソナルカラー診断などもできるため、お客様に喜ばれることも多く、カウンセリングの際も「説得力」を大きく得ることになりそうです。

余談ですが、サロンワークでの「カラー調合」の考え方は、絵の具を混ぜ合わせて「色」作りをするところからも応用できますので、もしこれからカラーについて学ぶ方は参考にしていただければと思います。

3. ネイリスト検定

ネイリスト技能検定とは、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催する検定試験ですが、目的としては「国際的に通用する」ネイリストの育成を掲げています。

美容師とは異なり、「ネイリスト」になるためには、「必要な免許」というものはありませんが、だからこそ「資格」を持っていることが有利になる場合もあるようなのです。

ではそのあたりの事情を少しみていきましょう。

まずこの資格の保有するメリットとしては、第一に就職に有利に働くということが挙げられるでしょうし、ネイルサロンも数多くある中で「特色」を持つサロンも数多く存在します。

例えばチェーン店や高回転型のサロンでは、サロンの求人票を見ていてもネイリストの「資格不問」のところも多くありました。

逆に規模の小さいサロンや、技術をウリにしているような高級店では「実務経験+1級資格保持者」の募集となっているサロンも見受けられます。

ですので、ご自身の「ネイリスト人生計画」に照らし合わせて、ネイリストの資格を取得するかどうかは考えたほうがいいのかもしれません。

ちなみに「お給料」については、資格を保持しているかどうかは「あまり関係がない」といえそうなので、ご自身のスキルアップとネイリストとしてのキャリア形成の両面で考えることが賢い方法といえそうです。

美容師が得する資格 番外編

これまでご紹介した資格は、即営業に落とし込むことのできる即戦力的な側面の強い資格をピックアップしましたが、次にご紹介する資格は「あるといいかもね!」と思わせる資格をご紹介いたします。

「あるといいね!」と言いましたが、裏を返せば多くの人が取得していない資格となるので、使い方によってはライバルたちへの大きなアドバンテージとなり得るかもしれません。

先ほども一覧でお見せしましたが、その資格といえるのが、日本化粧品検定・心理関係の資格検定・管理美容師の3つの資格ですが、なかなかピンとこないと思いますので少し掘り下げてご説明していきます。

4. 日本化粧品検定資格

日本化粧品検定とは、「コスメを読めるプロになる!」ことを目的とした検定ですが、取得することで身につく内容としては、化粧品の成分から歴史や法律までと幅広い知識を得ることができます。

最近では、美容室で「化粧品を販売」することも多くなってきたので、店販売上を増やすためにも必須な資格となるかもしれませんし、大きなポテンシャルを秘めた今後注目の資格といえるでしょう。

というのも、一昔前までは化粧品といえば「CM」や「雑誌」の効果が絶大すぎて、いわゆるイメージ戦略を上手にできていれば、メーカーもそれなりに稼げる時代でした。

しかし、現在は一人に一台スマホを持っていますし、情報もまたスマホに適した規格で配信されているので、過去のイメージ戦略で用いた媒体では効果が出づらく、多くの情報はスマホの画面から取得することが当たり前になっています。

そんなことからも、最近の消費者の傾向としては「より自分に合った商品」を追求している方が多く、原料の成分表示までしっかり見てから買う人たちも確実に増えてきました。

例えば女性美容師なら女性のお客様とサロンワークをしながら、「コスメの話」をすることもあるでしょうし、その際におすすめコスメを「成分効果から教える」ことができたなら、あなたから購入してもらえるチャンスになるかもしれません。

ちなみに、他の検定試験同様に化粧品検定3級は、間口を大きく開けて開放されているので、出題数・受験料・受験方法・合格率すべてを見ても簡単に取得できることでしょう。

「わたし、化粧品検定もってるんですけどー」と話の切り口に使えば、その効果はとても大きいので、美容師として活用するなら「店販売上」UPを目的に取得してみるのもいいのではないでしょうか。

5. 心理系カウンセリングの資格

次に心理系の資格検定についてですが、こちらに関しては検定資格の幅が広い!というより「かなり広い!!」ので多くは語らずに、美容師としてどんなメリットがあるのかだけをお伝えいたします。

美容師とは接客業でありサービス業として業種分類されていますが、人と接するため他者の思惑や感情に触れる機会も多いと思われます。

美容師は様々な特徴を持つお客様を日々接客されますが、全てのお客様は大きくみると「カテゴリ分け」できますし、お客さまの特徴をつかんでサロンワークにおいて接客するのではないでしょうか。

たとえば、話し方やアプローチの仕方はお客様によって微調整するでしょうし、ベテラン美容師に至っては、お客様毎に無意識のうちに「フィットする接客」をしているかもしれません。

そんなベテラン美容師の「接客スキル」を持ち合わせていなくても、たとえば心理系のスキルをもっていると、いわゆるベテランの「上手な接客」ができるようになります。

技術や接客も、ある程度のレベルまでは「経験」で身につけられますし、そんな経験も心理学の「傾向」を用いれば、代用できるはずです。

ですので、まだ接客経験の少ない若手美容師が「経験」を買うためにも、心理系の検定資格を持つことは、もしかしたら有利に働くかもしれませんね。

6. 管理美容師

管理美容師とは、美容師法によって定められている「美容所の衛生管理責任者」のことになりますが、美容学生や若手美容師では知らない人も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、管理美容師資格の受験資格を得るまでには「実務経験3年以上」という受験資格が設けられています。

そのうえで、都道府県知事が指定した講習会を受講して「合格」してはじめて、資格が発行されるのです。

聞くだけだと難しく聞こえてしまいますが、出題内容としては美容師免許を取得するための「美容師国家試験」の出題科目の中にある「衛生管理」とほぼ同じ内容です。

どんなに盛っても、「全く難しくない」といえるので興味があって受験資格のある方は取得してみてもいいかもしれません。ただし3日間の講習が必要なので、忙しい美容師にとってはスケジュール調整のほうが難しいといえますね。

ちなみにこの資格が必要になるのは、主に2つのことが起きた時に限定されます。

一つ目は、「店長」に任命されたとき

2つ目は、「独立・開業」するとき

この上記2つのことが発生したときに必要になる資格が「管理美容師」です。

美容師としては必ず持っていないといけないわけではないですし、この資格で何か有利に働くことも皆無ですので、状況に合わせて「必要ならば取る」と頭の片隅に置いておかれるといいと思います。

美容師が得する『資格とその種類』のまとめ

美容師の資格の種類についてご説明してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

目を輝かせるような「お宝資格」から、使い道のわかりづらい資格まで様々ありますが、あなたにとって何かお目当ての資格は見つかりましたでしょうか。

今後、美容業界は間違いなく大きく変革していくことになるでしょうし、美容師として求められるスキルも「ヘア」を除いては、本当にたくさんの「変化」を求められることでしょう。

ただその「変化」に戸惑うことなくチャンスへ変えられるか否かは、一人ひとりの行動次第ともいえます。

もしそのときに「資格」があることで迷いなく取捨選択ができたとしたら、とても重宝しますし、あなた自身の大きな武器にもなるでしょう。

美容師が「ヘア」だけをしていればいい時代が長らく続きましたが、その時代の終焉はもうホントに目前に迫っています!

あなたは、「なにができる美容師なのか?」

これに脊髄反射で即答できる美容師が今後は勝ち残っていくでしょう。

また、プロフェッショナルが資格で守られる時代も、残念ながら終わることでしょう。

これからは、よくよくご自身の「人生設計」と「キャリア形成」を考えながら、最適な「新しい「スキル」を身につけてください。

きっとそのスキルは、美容師としてのあなたを守ってくれるはずです。

最後に付け加えると、美容師として最強のスキルといわれているのは、「誰からも好かれる」ことで、どんな時代のどんなレジェンドも必ず口にすることです。

がんばってください😊